佐賀大学 ティーチング・ポートフォリオ

氏名
寺本 顕武

教育の責任

寺本 顕武は, 佐賀大学理工学部機械部門に所属している. 大学院では, 後期博士課程においてシステム創成科学専攻先端融合工学部門, 修士課程において先進健康科学研究科に所属する学生の教育を行っている. また学部では, 機械部門の学生の教育および全学教育を行っている.
機械部門は, 2002年にJABEE認証を受け, 現在に至っている. 寺本は, 当部門のJABEE準拠プログラムの基礎を設計の中心的役割を果たした. また, 大学入門科目にエンジニアリングデザイン科目をとりいれ, 新入生のもの作りに対する興味の増進を実現した. 現在, 全学教育科目:知的財産学; インターフェース科目:機械工学と環境IV; 学部専門科目: データサイエンス2,機械数学応用, 計測工学, 創造工学演習, 卒業研究; 前期博士課程専門科目: 医工統計学得論, 生体医工学特別講義, 特別研究I,II,III; 後期博士課程専門科目: 先端医用計測工学特論, 特別研究および EPGA科目を担当している. 寺本が, 学生の教育において第一とするのは, 問題の構造を明らかにする能力を身につける事である. 現在では, インターネット上に様々な問題に対する解法が示されている. しかしながら, 問題の構造を理解する能力が無いと適切な解法を選択する事ができない. そこで, 講義では, 覚える内容を極力減らし, なぜ, どうしてと考える機会を増やすよう配慮している. また, 毎回講義内容に即したオンライン課題を与え理解の助けとしている. また, 複数の問題が関係する設問を設け, 暗記主体で勉強する学生が壁にぶつかるよう配慮している.

教育の理念

学生が, 寺本が担当する講義, 実習・演習科目, あるいは, 研究科目を受講した結果, 問題の構造を明らかにする能力を身につけることである. 問題の構造が明らかになれば, 解決策を見いだすことが出来るようになり, 一人前の技術者あるいは研究者として自立する道が開けてくる. 
そこで, 講義科目では, 簡単な原理が組み合わされて, 問題が構成されている状況を例示し,  問題解決の手法が学べるように工夫した教材を配布している.  とくに数式の変形過程に, 問題解決のエッセンスが含まれているので, オンライン配布資料では, 式変形を省略すること無く示している. 

実習・演習科目では, 自らの思考過程や他人の思考過程を明らかにしながら, 議論を深め, 研究遂行能力の向上を目指している. 思考過程および議論の過程を記録に残し, 履修者がつねに記録にアクセスできるよう, 10年ほど以前よりwikiシステムを利用した情報共有を実現している. また, wikiシステムにuploadされた各人の研究ログにもとづいて, 研究の新規性, 戦略, 実験の適切さ, 考察内容, 文章の質, および参考文献の書き方など様々な点について議論を深めている.

研究科目(卒業研究, 修士特別研究, 博士特別研究)では, 「What's new」「What's wrong」を大切にするよう心がけている. 予想通りに事が進まない時, 予想外の結果が出た時こそが, 新しい発展の足がかりになるということを学生とともに深く認識するよう指導しつつ自らにも言い聞かせている. また, 研究遂行の記録を, wikiにアップロードさせ, それにもとづき, 「何があたらしいのか」「何が予想と違うのか」を考え, その理由を共に考察する. さらに議論を深め, 自身の研究以外の分野にも視野を広めるとともに, 研究手法やプレゼンテーションに改善を加える.

教育の方法

講義を通じて行ってきた努力
「記憶力に頼る勉強は役に立たない」ということを学生が身をもって体験できるよう配慮した教育を行っている. 講義では, 「概念」を示し, 概念を構成する「要素」について説明を行う. その後, 個々の事例について, これらの概念および要素がどのように組み込まれているかを示す. また, できるだけ複数の問題が絡み合った例題を用意するよう努力している. 以下に, 計測工学についての例を示す.

「計測工学」
講義概要:『計測』とは 真実への接近手段としての観測を行ない,  その結果を数値化,  符号化することにより,  普遍化するのための大切な手段であることを理解する.  また『計測』は現在の産業において 
(1)	同じものを大量に生産する,  
(2)	互換性の維持, 
(3)	価値基準の統一化のために必要不可欠な技術である
ことを理解する. 

講義における留意点:
昨年度とは異なり毎回の講義修了後にLMSを用いて課題を出した.その結果, 毎回の講義内容に集中して勉強できたものと考える. 但し, 平均点が上昇しなかったかわりに合格者数が上昇した. その他
1.	不確かさ について 実例をあげながら詳しく説明した
2.	とくに光を用いた計測法について詳しく説明した.
3.	毎回の講義資料やコメントをPDFにしteamsにアップロードした

評価について:
1.	試験では,講義と密接に関係するものを出題し、復習の役に立つよう配慮した.
2.	課題や解答への道筋をteamsで開示し, 試験勉強の一助となるよう配慮した.

今後の目標

4年前は, 今年度のようにオンラインになることを予想していなかった.
 
1: Rを用いて, モンテカルロシミュレーションを通して, 数式の意味を実感させたい. 
2: データサイエンス2や機械数学応用では, 個々の学生がデータの生成, 集約, 解析, 評価の一連の流れを自ら体験できるような課題を用意したい
3: インターフェース科目では Arduino の評価キットをもちいて実際に インターフェース回路を実現し、それをベースにプレゼンさせたいと考えている

エビデンス

学部科目については, teamsにアップロードした講義録およびJABEE認証用保管資料をあてる.
大学院科目については, teamsにアップロードした講義録およびwiki, さらに論文をあてる.

参考資料

参考URL

標準版TP

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