佐賀大学 ティーチング・ポートフォリオ

氏名
山内 一祥

教育の責任

【インターフェース科目】
チームビルディングとリーダーシップ1~4
【基本教養科目】
教育学,グループワークの技法と実践,キャリアデザイン,ライフデザインとセルフリーダーシップ

教育の理念

私はこれまでの人生において一貫して、その時々、与えられた役割や責任において、何が自分にできるのか、あるいは何が自分にしかできないのかということを考えてきた。 このように考えるようになった背景には、自身の経験があるのだが、人間にとって、もっとも辛く悲しいこととは居てもいなくてもよい存在になってしまうことであると考えている。つまり、誰からも関心を示してもらえない、存在を承認されないことこそが辛く悲しいことなのではないだろうか。
人は人として生まれたときから、誰かにその存在を承認され、社会を構成する一員なのだと実感できることが必要であると考える。そのためには、ただそこに居て、誰かに何かをしてもらうことを期待するというような、受動的な生き方をするのではなく、与えられた状況の中で、自ら考え判断するなど能動的に生きる必要がある。換言すると、常に自分にできること、自分にしかできないことを考えることが必要であるということだ。
そのため、私が教育というものを考える際、最も大切にしていることは、「自律的」な学生を育てるということである。「自律的」とは、自らの人生に対して状況に応じて自分自身で進むべき最良のあるいは最良だろうと思われる道を判断・決断し、その結果に対して責任を負えるということである。誰かに言われたからであったり、それが当たり前だからであったりという理由で、何も考えず行動していては自分自身の人生を切り拓くことはできない。学生は大学時代に自分自身を理解し、与えられた使命を感じ、人生を通して何をすべきなのかということを考えなければならない。そして、常に自分が置かれた状況に対して、自分自身がとるべき行動を選択し、自らの人生を切り拓いていかなければならない。
そのために、教員は学生と継続的に関わる中で信頼関係を築き、一度関わった学生に対しては責任を持つように心がけなければならない。そして、学生が「自律的」であるための基礎となる、知識・技能・態度を獲得する支援を行わなければならないと考える。さらに、このような支援の効果を最大限に引き出すために、学生にとって努力すれば乗り越えられる壁であることが、教員の役割であるとも考える。

教育の方法

教育の理念を達成するために,以下の6つの方法を採っている。
(1)自問自答・省察を促す(添付資料:B)
自らを理解すること抜きに、自分の人生を切り拓くことはできない。自己との対話を通して自らの価値観など自身の持つ本質について理解することが必要である。リフレクションシートや学習のためのポートフォリオなどと併せて、教員が「なぜ」と問いかけることで、学生に自分自身の行動の本質について考えさせ、自己理解・自己認識を促す。
担当する「チームビルディングとリーダーシップ1、2、4」では、Project Based Learning を行っているが毎回の授業の記録を学習ポートフォリオに記録すること、さらに授業最終回では、リフレクションシートを活用したリフレクションの時間を設けている。また、これらの記述を要するものについては、“なぜ”と問いかけるコメントを記載して返却している。さらに、学生が授業時間中に行ったプレゼンテーションについては、動画を撮影しDVDにして提供し、省察を促している。

(2)個別面談などを通した継続的な関わりをもつ(添付資料:C)
学生の成長を支援する上で必要なことは、継続性であると考える。継続的な関わりの中で信頼関係を築くことで、教育の効果を最大限に高めることができると考える。つまり、一度関わったら学生の成長に責任を持ち続けることが必要である。授業期間中に個別面談等を行い、授業を通して感じたことや考えたことなど適宜振り返りの機会を設けている。
担当する「チームビルディングとリーダーシップ」では、2年間4科目同じメンバーでの実施であるが、2年生後学期には1人あたり1時間程度の学生面談を実施している。また、オフィスアワー以外にも面談の時間を設け、積極的に周知している。

(3)学生の闘争心に火をつける(添付資料:D)
成長の一番の原動力は、「悔しい」という感情ではないかと考える。このような闘争心を正しく引き出し、成長の原動力に変える必要がある。そのために、教員は学生との会話などで、学生自身の目標(ありたい自分)と現在とのギャップ明らかにし、伝えることが必要である。また、学生自身の可能性と、「やればできるはずなのにできていない」自身の甘さに気付かせる必要があると考える。さらに、他者の活躍などを知ることも効果的であると考えており、挑戦的な取組を行っている学生の情報は、伝えたり共有したりするようにしている。具体的には、授業時間中に伝えたり、研究室のホワイトボードに学生の取組みについての紹介を掲載したりしている。

(4)互いに高め合える,批評的な人間関係の構築を促す(添付資料:E)
批評的な人間関係とは、お互いの良い点および改善点に関して指摘しあう関係のことである。教員は学生同士が互いに影響し合える、良い好敵手と出会わせることが必要である。プレゼンの評価シートなどを活用して、批評的なものの見方というものを学ぶ機会を設けている。
担当する「チームビルディングとリーダーシップ1、2」では、授業の方法として企画コンペティションを実施し、チームでのライバル関係を構築するよう工夫している。また、「チームビルディングとリーダーシップ3」では、学生が実施するセミナー(1チーム2~4名、40~70分)に対してルーブリック評価を実施しているだけではなく、セミナー後のリフレクションの時間に、直接コメントを伝える機会を設けている。

(5)チャレンジを促し支援する(添付資料:F)
自分が自分の人生の主体であるということを感じるきっかけは、何かにチャレンジして、精一杯取り組んだ経験なのではないかと考えている。学生自身が“やってみたい”と感じている時に、ニーズにあった機会の提案をすると同時に、それを支援するようにしている。
担当するすべての授業において、学内外の懸賞論文やプレゼンテーション・ビジネスコンテスト、さらには学生も参加することができる研修などを紹介している。特に「チームビルディングとリーダーシップ」では授業のためのホームページを開設し、そこでチャレンジできる機会の紹介ページを設けている。また、チャレンジしたいという学生については、適宜面談などを実施し支援している。

(6)丁寧なフィードバックを行う(添付資料:G)
フィードバックすることは承認することであると考える。つまり、自分自身の行動の結果について何等かのコメントや評価が得られることは、次の行動を促すことであり、存在承認なのではないかと考えている。そこで、授業などで課されるレポート、報告書などへはコメントを記載して返却をしている。また、メールなどで学生とやり取りをする際にも、(良し悪しに関わらず)気になる点があればなるべく口頭(難しい場合はメールなど)で伝えるようにしている。

今後の目標

【短期目標】
短期的に取り組んでいきたい目標は以下の通りである。
教育効果の測定方法および評価に関する知識のさらなる獲得
教育効果の測定・評価は,教育の質の向上にとって必要不可欠なものだと言える。つまり、適切な指導や学習プロセスの確立には教育の効果を測定する必要があるといえる。現在行っている評価の主体は観察である。簡単なチェックリストを活用した観察により学生の学習効果を評価しているが、それだけでは客観性に欠けていると感じる。そのために、より客観性の高い評価の方法を組み合わせる必要があると考え、学生の学習行動に対して、360度評価、ルーブリック評価など、多様な評価技法を組み合わせ、学生に明確な学習目標を明示するとともに、その効果測定に取り組む。
【長期目標】
長期的に取り組んでいきたい目標は以下の通りである。
大学教育の質の向上
今後、大学教育の重要性は一層高まると考える。また、同時に社会から求められる大学というものも変化していくだろう。そのような中、学修成果の可視化やIR機能の強化を図り、大学教育全体の質向上に寄与したいと考える。

エビデンス

チームビルディングとリーダーシップ1~4シラバス
異文化交流Ⅰシラバス
教育学シラバス
グループワークの技法と実践シラバス
佐賀大学版キャリアデザインシラバス
大学間連携共同教育推進事業UNGLの学生向け研修一覧
リフレクションシートサンプル
学習ポートフォリオサンプル
セミナー報告書の添削サンプル
学生セミナー動画DVD
学生面談実施予定表
学生面談実施記録サンプル
研究室ホワイトボードの写真
セミナールーブリック表
ホームページのキャプチャ画像
セミナー報告書の添削コメント
企画書へのコメント
学生とのメールのやりとり
学内委員会等での取組一覧
ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップ実施状況
FDフォーラムチラシ
学士力の獲得状況に関する分析報告書
佐賀大学高大連携とびらプログラム実施概要
グローバル・リーダーシッププロジェクト実施概要
佐賀県立小城高校オンリーワン発表会実施概要
新入生アドバイザー研修実施概要
ラーニング・ポートフォリオ入力支援実施スケジュール
佐賀大学公開講座案内
佐賀県生涯学習センター「課題解決支援講座」概要
県民講師キホンとスキルアップ講座概要
佐賀県生涯学習センター生涯学習関係職員実践講座
エントリーシート添削サンプル
就活イベント等まとめカレンダー
キャリア形成に関する授業資料
リフレクションシートフォーマット
企画書ルーブリック表
プレゼンテーションルーブリック表
学習ポートフォリオ
UNGLのアングルVol.1
UNGLのアングルVol.2
リーダーシップ・マインドおよびコンピテンシー

参考資料

参考URL

標準版TP

シラバス

2024年度
2023年度
2022年度
2021年度
2020年度
2019年度